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LunA SymphoNica
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前編
むかしむかしのお話
小さな村に、とても美しい女性がいました。
彼女は村の掟を破り、村を追い出されました。
行く当ての無い彼女は、
白い結晶の吹き付ける中、深い森へと消えて行きました。
彼女が倒れた際に残していったもの。
それは、彼女が流した一粒の涙でした。
彼女が村を追放された後、村人たちは彼女の呪いを恐れ、
日の沈むとき、一切の外出を禁じた。
掟は今もかたく守れられ、このお話しもまた、
消えることなく語り継がれている―――。
その姉妹に両親は無かった。ラナは妹のために一生懸命働いた。フィオはそんな姉を誇りに思った。
二人きりの家族。
助け合い、支えあって、姉妹は仲良く暮らしていた。
ある日、フィオは笛を吹くひとりの少年に出会った。
彼の奏でる笛の音色はとても美しく、フィオは彼の姿に思わず見とれてしまう。
演奏を終えて顔を上げた少年は、そこにいるフィオに気付いた。
にこりと微笑みかける。
するとフィオは我にかえり、急に恥ずかしくなって、逃げ出しそうになった。
彼はそんなフィオに手招きをし、自分の隣に座らせると、
フィオのためにもう一曲プレゼントした。
それからは毎日、フィオは少年に会いに、その丘へ行くようになった。
少年がくれた笛で、フィオも吹き方を教えてもらったけれど、フィオには
上手く吹くことはできなかった。
それでも、彼の隣に座り、空を眺め、風を感じながら彼の音色に耳を傾けることが、
フィオの楽しみだった。
ところが、ある日を境に少年は姿を見せなくなる。
フィオはそれでも毎日丘へ向かった。ちっともうまくならない笛を吹いて、
ひとり、彼への思いを募らせた。
その日も少年には会えないまま、フィオは家に戻った。
すると、ラナは椅子に座ったまま居眠りをしている。
声をかけて起こそうと思ったが、フィオは黙って姉の肩にそっと毛布をかけた。
このところ、ラナは酷く疲れているように見えた。
夜は早く寝てしまい、休みの日は身体を横たえることが多くなっているようだった。
フィオは姉を心配し、姉の仕事を手伝うようになった。
自分のことはできるだけ自分でやった。
そんな生活の中で、フィオも丘へは行かなくなった。
しかし、ラナの様子は少しずつ、確実におかしくなっていく。
あんなに働き者だったラナが、仕事に行かなくなり、部屋に閉じこもるようになった。
いつもぼんやりとして、寝てばかりいる。
やがて、ほとんど起き上がらなくなり、ついには、眠りについたまま目を覚まさなくなった。
――まるで死んでしまったかのように。
しかし、息はあった。
ただ、フィオがどれだけ呼びかけても、身体を揺すっても、ラナが目を覚ますことはなかった。
フィオは信じたくなかった。
いつからか、もしかしたらと思ってはいたけれど…絶対に信じたくなかった。
これが、この村に伝わる「魔女の呪い」だと。
後編へ続く
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