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LunA SymphoNica
LunA NocturVia
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イベント情報

コミックマーケット75
2008-12-29(月)
西地区 ”い”ブロック−40a

CD仕様

音楽プレスCD 全8曲入り
8Pカラージャケット仕上げ
イベント価格 1000円

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サリー様

NAKI様

やなぎなぎ様

鄙裄様

 

LunA NocturVia

                                  LunA NocturVia 第一章『双子』
                                  LunA NocturVia 第二章『覚醒』
                                  LunA NocturVia 第三章『予言』
                                  LunA NocturVia 第四章『儀式』
                                  LunA NocturVia 第五章『魔女』
                                  LunA NocturVia 第六章『犠牲』
                                  LunA NocturVia 第七章『灯火』
                                  LunA NocturVia 第八章『真実』
                                  LunA NocturVia 第九章『追憶』
                                  LunA NocturVia 終章『輝石』


第一章 『双子』



「ねぇアンフル。明日は雨が降るよ。」
リズがそう言うと、翌日は必ず雨になった。

「ねぇアンフル。さっきね、川向こうのおじさんにさよならを言ってきたの。今までたくさん遊んでもらったから。」
その翌日、川向こうのおじさんは死んだ。

双子の姉、リズには不思議な力があることを、弟のアンフルは小さい頃から知っていた。
ある時、アンフルはロイトに聞いた。
「どうしてリズは、明日起こることがわかるの?僕にはわからないのに。」
その言葉にロイトは驚いた。

まだ幾分早いように思っていた。
しかし、そう言って見上げる幼いアンフルの顔に、一瞬、彼の母親の面影が重なると、ロイトの心臓はドクリと音を立てた。
気付かされてしまった、という思だった。いずれやってくるとわかっていたことだ。
自らの顔に刻まれていく皺が深くなる程に、焦りを感じることも否めなかったのだから。

ロイトはリズをここへ連れてくるように言うと、アンフルは力強く頷いて駆け出した。
その背中に小さく溜息を漏らし、 立ち上がると、窓の外の陽に目を細めた。時の訪れというものは、喜ばしいことに違いなかった。


双子を並んで座らせると、ロイトは二人に向かってゆっくりと話し始めた。
「おまえたちのおばあさんの話をしよう。まだ少し難しいかもしれないけど、よく聞きなさい…」




――ここから遠く離れたある村で、
彼女はある一族の長女として生まれた。彼女の名はノア。
ノアの家は、その村を統括する大きな屋敷だった。

この一族の長女に産まれた者には必ず、ある”力”が授けされていた。
先に起こることがわかってしまう”予言”という力。それはやはり、ノアにも引き継がれていた。

一族は、村を治めていく為に必要な助言を、予言者に求めた。
村にとって大きな決断となることは、ノアの言葉に委ねられた。
その言葉ひとつで、人々が動く…ノアの予言はそれだけの影響力を持つものだった。

屋敷の地下にある、暗く閉ざされた小部屋。ノアは生まれた時からずっとそこ育った。それはそれは大事に育てられたが、
その地下を出ることだけは許されなかった。一族にとって、予言者を失うことほど恐ろしいことは無かったからだ。

ある時、ノアはそれまでの予言者には無かった感情を抱くようになる。
この暗い地下室の中で、外の世界に触れず、ただ頭に浮かぶ言葉を唱える毎日。
絶対的な地位でありながら、この一族の長女として生を受けた自分の運命に、少しずつ疑問を抱きはじめたのだ。

それはちょうど、ノアのお腹の中に新しい命が宿った頃だった。
予言者に与えられるもう一つの使命。


「継承者となる女の子供を産むこと」


この子がもし、女の子だったら…。
地下室に閉じ込められ、”予言者”として生きるであろう自分の子供を思うと、ノアは不憫な気がしてならなかった。
お腹が大きくなるほどに、自分の運命を憎むようになった。
そして、産まれる子が男であることを心から祈った。
やがてノアは子供を産んだ。


女の子だった。


一族は心から喜んだ。 継承者を産んだそのときから、予言者の力はその子供へと引き継がれる。
何もできないノアはただ、泣いた。

それから数年たったある日、ノアは自分の世話をしてくれていたある男を呼んだ。
彼はノアが信用し、心を許すことのできる、唯一の存在だった。
「ロイト…お願い。この子を連れて逃げて。ここからできるだけ遠いところへ。」
ノアの悩む姿をずっと見てきたロイトは、
彼女の気持ちが痛いほどわかった。


そして、決心した――。




「そうして、私はまだ幼かったインス…おまえたちのお母さんを連れて、この村へ逃げてきたんだ。
だから、私はおまえたちの本当のおじいさんじゃない。だけど、おまえたちを産んですぐに死んでしまったインスを本当の娘のように、
そしておまえたちのことも本当の孫のように育ててきたつもりだよ。わかるね?」

リズはただ、ロイトを見つめていた。
アンフルが言った。
「ノアおばあちゃんは、どうなってしまったの?」

ロイトは黙って首を振った。
「死んじゃったのね?」
リズが泣きそうな声で聞いた。
「わからない。だけど、この村へ逃げてくる途中で、インスが言ったんだ。『お母さんは白く光る石になった』ってね。」


何を、どこまで理解できたろうか。まだ幼い二人に、受け止めきれるものではないだろう。
しかし、黙ったまま俯き、涙を浮かべるリズの姿を見た瞬間、ロイトの心臓は、再び脈を打つような音をたてた。
もしかすると、彼女は全てを理解しているのかもしれないと思えた。
涙の理由を尋ねることなど、とてもできなかった。
感覚でしかないものが、そんなはずは無いという思いの延長線上で、裏側から突き出て来ては、ロイトを混乱させていた。

落ち着きたかった。
感覚などという曖昧なものに揺らいではいられない。
伝えるべきことは、まだ終わっていないのだ。
やがて、ロイトは再び話し始めた。

「リズ、おまえは確かにその”力”を引き継いでいるんだよ。それは知っていなければいけない。
…ただ、人前でこのことを簡単に口にするんじゃない。予言者であることに、ノアおばあさんはとても苦しんだ。
でも、おまえはここで自由に、今まで通り暮らしていける。特別な目で見られることも、その必要もないんだよ。」

そして、ゆっくりとした優しい口調で、こう続けた。

「アンフル。おまえは、おまえにしか見えないものを見ればいい。
自分の目と、心を信じなさい。
おまえにしか見つけられないものが、きっとある。
二人とも私の大切な孫であることに違いは無いんだ。何も変わらない。これまでも…勿論これからも。」



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