旅の途中の街でふと耳にした。この遥か先に灰の都と呼ばれる国があることを・・。
そこは今では廃墟となり、人は住んでいないという。
いつからだろう・・、昔から?・・人々の記憶にはない。
「いつだったか、その国に向かったあんた達のような楽団がいたんだ。」
ソシエナは思い出していた・・。
『あの人』はこの先にある王国に向かう途中だと言っていた。
(そこに向かったのかもしれない・・でも・・)
今は誰もいないというその国にどうしてあの人が?
ふと浮かんだ憶測が間違いなのではないか・・という考えをティアラの言葉が打ち消した。
「その国に行ってみましょう・・兄の手がかりが見つかるかもしれない・・」
ティアラもまた、その国に何かがあると感じとったのだ、ただ・・
憶測ではない・・確信していたのだ。
(兄はどうして・・)
灰の都・・・もともとは綺麗な町並みだったのだろう、
高地にそびえ立つ城、今は誰も立ち寄らないのか、
草木に覆われていて、小鳥のさえずりや小動物の鳴き声が聞こえる。
崩壊しているとはいえ、この城の姿をみると、平和でさえあるように思える。
人気のない城の中にティアラとソシエナは足を踏み入れることにした。
王室、客室、回廊、教会、ホール、さまざまな部屋を調べ、兄の手がかりになるものを探す。
回廊の奥に広い空間が見える。そこは室内庭園のようだ。
回りを見渡してみた。今では雑草が生え、枯れた木はそのまま、元は綺麗な庭だったのだろう。
庭園の中心に墓が見える。この城に住んでた人のものだろうか?
そこには1輪の花が供えられている。それほど古くは無い。
(この墓はいったい誰のものだろう・・?)
その神秘的な空間にティアラは思わず吸い込まれてしまうのだった。
兄は本当にこの城にいたのだろうか・・?
私をここに導いたのは・・なぜ・・?